

ベトナムにて
ベトナムを訪れたのは、12月の終わり。ホーチミン、ホイアン、ミーソン、フエを訪ね、最後にハノイへ。インドシナだというのに、寒くて毎日雨ばかり。特にハノイは、冷たい北風が吹き、冬そのもの。日本を発つ時に着ていた冬服をすべて着てもまだ肌寒かった。
ハノイでは、すばらしい友人に出会った。いつものように、当てもなく町をぶらぶらしていると、ほとんど訪れる人もない旧ハノイ城壁で一人の青年に会った。物静かな青年で、遠慮がちに、それでも熱心に、いろいろな写真をとっていた。東洋系の顔立ちであったが、英語で言葉を交わしたので、私はアメリカ人だと思っていた。一柱寺に来ると、同じ青年に又会った。やはり同じように、熱心に、写真をとっていた。私たちが、後ろで、小声で話をしていると、彼が振り向いてにっこり笑い、「日本人ですか?」と流暢な日本語で話しかけてきた。私たちは一瞬言葉を失った。そう、私たちの会話はすべて聞かれていたのだ。彼はマレーシア人。中国語とマレー語、英語、日本語を話し、現在ドイツでドイツ語の勉強中。ドイツ人の友人と旅しているとのこと。しばらく話に花が咲いた。実は彼らとは、翌日ハロン湾でも再び出会った。見知らぬもの同士が、どちらの母国でもないベトナムで、ばったり出会い、友人になる。だから旅は面白い。彼とは今でも、メールで、写真や旅日記のやり取りをしている。
提灯店
古都ホイアンは、中国文化の影響を色濃く残した古い街並みが続き、軒先に飾られた色とりどりのちょうちんがなんとも言えずよい。お茶屋の、海の見える二階のテラスでのんびりコーヒーを飲んでいると、昔にタイムスリップしたような気になる。
みどり